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遺産分割の禁止

遺産分割の禁止

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

一定の期間、遺産分割を禁止することができることをご存知でしょうか。

何らかの理由により、すぐに遺産分割を行うことで生じる不都合やトラブルに発展するケースがありますが、いったん遺産分割を保留する事により防げる場合があります。

今回は、遺産分割の禁止についてご説明いたします。


[目次]


◆遺産分割の禁止が有効なケース

◆遺産分割を禁止する方法

◆さいごに



〇遺産分割の禁止が有効なケース

被相続人の遺産について、相続人は遺産分割の禁止がされていない限り、いつでも遺産の分割を求めることが可能です。


<第907条>

共同相続人は、次条第1項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。


しかし、相続開始後、すぐに遺産分割を行う事で、予期せぬトラブルに発展する場合があります。

遺産分割の禁止が有効な例として、例えば、以下のようなケースが挙げられます。

・冷静に対応できるまでの冷却期間を設けたい場合

・相続規模が大きく、遺産分割となる財産の調査を慎重に行いたい場合

・家族関係が複雑であり、正確な相続人を特定させるまでの時間が必要な場合

・未成年の相続人がいる場合


特に、未成年が相続人に含まれており、未成年者と親権者が共に相続人である場合、すぐに遺産分割を行うとなると、未成年者と親権者で利益相反状態となる為、特別代理人の選任を家庭裁判所へ請求しなければなりません。(民法第826条)

その為、あと数年で成人する未成年が相続人に含まれている場合などには、この選任手続き自体を回避する為、親族のみで遺産分割協議を行う為に特別代理人が参加することを避ける為など、一定期間の遺産分割の禁止が有効な場合があります。



〇遺産分割を禁止する方法

遺産分割の禁止については、民法で以下のように定められています。


<第908条>

 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

2 共同相続人は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

3 前項の契約は、5年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

4 前条第2項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。

5 家庭裁判所は、5年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から10年を超えることができない。


つまり、遺産分割を禁止するには「被相続人による遺言」「相続人の間での合意」「家庭裁判所の手続き」の3つ方法があるということになります。


①被相続人による遺言

遺言により遺産分割を禁止する場合、相続開始の時から最大で5年となります。

5年以上の期間の分割を遺言で禁止している場合は、5年の分割期間禁止として扱われます。

もしも被相続人が生前、分割の意思表明をしていたとしても、遺言にしていない場合は効力は生じませんのでご注意ください。


②相続人の間での合意

相続人全員の合意がある場合、5年以内の期間で遺産分割を禁止する契約ができます。

そして、その契約は更に5年以内の期間を定めて更新することも認められています。

ただし、いずれも相続開始時から10年を超えることはできないという点に注意が必要です。

尚、相続人全員の合意により一定期間の遺産分割を禁止した場合、その禁止期間中に更に相続人全員の合意により遺産分割協議が成立すると、遺産分割禁止の合意に上書きされたものとして、遺産分割協議の内容が有効に扱われます。


③家庭裁判所の手続き

共同相続人間で協議が調わないとき、協議をすることができないときは、家庭裁判所に遺産分割の禁止を請求することも可能です。

この場合も5年以内の期間が定められ、更に5年以内の更新も認められていますが、それらの終期は相続開始時から10年を超えることはできません。

また“特別の事由があるとき”に該当するのは、相続人の資格や遺産の範囲など、重要な前提事実に争いがあり、即座に分割することが適当でない場合や、分割をしない方が共同相続人らの全体にとって利益となる場合です。



〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

もしも遺産分割が禁止されている期間に、遺産分割協議によって遺産分割が行われても、相続人間の合意による禁止である場合を除き、原則としてその分割は無効となります。

遺産分割を一定期間禁止する事で、避けられるトラブルなどがある場合は極的に検討してみるべきでしょう。


上記に関するお問い合わせの他、遺言や相続に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

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