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特別受益について

特別受益について

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、特別受益についてご説明いたします。


[目次]


◆特別受益とは

◆特別受益に含まれるもの

◆さいごに



〇特別受益とは

被相続人から生前に多額の財産の贈与を受けていたり、遺言により財産を譲り受けたりした場合(遺贈)など、被相続人から受けた特別な利益のことを特別受益といいます。


共同相続人の中に、特別受益を受けているものがいた場合には、遺産分割における相続人間の公平を図る為、贈与や遺贈の額を相続財産に加算(持戻し)して遺産分割をすることになります。

特別受益者の相続分として、民法では以下のように定められています。


<第903条> 

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

4 婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。


<第904条> 

前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。


<第904条の3>

前3条の規定は、相続開始の時から10年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

1 相続開始の時から10年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

2 相続開始の時から始まる10年の期間の満了前6箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から6箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。


特別受益は、上記民法第903条1項のみなし財産の規定から、相続開始時を特別受益の評価時とする運用がされています。


特別受益の評価基準時は、生前贈与時でも、遺産分割時でもありませんのでご注意ください。

また、民法第904条の3本文より、相続開始時から10年を経過した後にする遺産分割については、特別受益の規定を適用しないとしており、これにより法定相続分または指定相続分で遺産分割されることになります。

尚、この規定は令和5年4月1日に施行されましたが、施行日前に開始した相続についても適用となります。



〇特別受益に含まれるもの

生前贈与や遺贈が特別受益の代表例ですが、以下に掲げるようなものも該当となります。

・学費

・家賃などの日常生活費

・婚姻の際に受け取った支度金


ただし、状況に応じて判断される場合もあり、必ずしも該当となるわけではない為、しっかりと確認することが必要です。

また、特別受益者の範囲は相続人に限られます。

その為、もしも相続人以外の人が被相続人から財産を受け取っていたとしても、それは特別受益には含まれません。

特別受益者に該当しない具体例としては、会社の従業員、内縁の妻、愛人、家政婦、といった方々です。

尚、通常、特別受益は相続財産に持戻しされますが、被相続人が持戻し免除の意思表示をした場合には適用されない点にも注意が必要です。



〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

遺産分割において、「特別受益」を主張することで相続人間の不公平を取り除き、不平不満、ストレスや遺恨の防止となる場合もあります。

相続人間の公平を図る法律上のルールですので、もし一部の相続人が被相続人から生前に多額の贈与等を受けている場合には、ぜひ「特別受益」についてうまく活用していきましょう。


上記に関するお問い合わせの他、遺言や相続に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

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