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寄与分の類型④

寄与分の類型④

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

今回は、寄与分の類型のうち、「扶養型」についてご説明いたします。


[目次]


◆寄与分の類型

【扶養型】

◆さいごに



〇寄与分の類型

寄与分が考慮される内容は、民法で「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法(第904条の2)」と定められています。


<寄与分の一般要件>

・特別の寄与があること(特別性)

・対価を受けていないこと(無償性)

・特別の寄与によって、被相続人の財産が維持または増加したこと(因果関係)


寄与分の類型のうち、今回ご説明する「扶養型」は上記の通常必要となる一般要件の他、「扶養の必要性」および「継続性」の要件を満たすことが必要となります。


【扶養型】

当事者である相続人が被相続人を扶養していたことにより、被相続人は出費を免れ、“被相続人の財産の維持”がされた場合に該当します。

具体例としては、被相続人が年金のみの収入で生活しているなど、収入や預貯金が乏しい場合に、相続人が毎月定期的に一人暮らしの被相続人に金銭の送金をしていたり、入居施設の費用の振り込みを行っている場合などが挙げられます。

複数の共同相続人がいる場合、被相続人と離れ遠方で生活している相続人が金銭的な面で扶養し、被相続人と同居している相続人は「療養看護型」の寄与分に含まれる介護を行うというケースも多いかと思います。

そのようなケースで、もし各相続人の寄与分に該当する行為の負担が平等であると評価された場合、どちらも寄与分としては認められず、通常通り法定相続分に従って遺産分割を行うことになるでしょう。


ただし、更に別の共同相続人が存在し、金銭的な扶養や介護など、寄与分に該当する行為を行っていない当事者がいる場合には、金銭面で扶養していた相続人および介護を行っていた相続人は、それぞれ必要な要件を満たすことで寄与分が認められることになります。


「扶養型」の寄与分が認められる為には、まず一般要件の「特別性」の部分で、被相続人と相続人の身分関係や親族関係に基づいて、「通常期待される程度を超える貢献」をしている必要がある為、ただ被相続人と同居し生活費を多めに負担していたり、会った時に不定期にお小遣いを渡していたり、食事や旅行へ一緒に行き費用を負担した、という程度では「特別性」の要件は満たしません。


また、被相続人と同居しており、当事者である相続人が生活費を全額負担していたような場合には扶養し「特別性」の要件を満たしているようにも思えますが、同居していた建物の所有者が被相続人なのか当事者である相続人なのか、生活費の全額を負担することとなった経緯・時期・家事分担等についても考慮することになる為、それだけでは一概に要件を満たしていると判断することはできません。


同居していた建物の所有者が被相続人である場合には「無償性」の要件にも注意することが必要です。

別居しており、毎月定期的に一定額以上の送金をしているような場合には、被相続人から対価を受け取っているということはあまり想定できない為、「無償性」の要件が問題となることは少ないと言えますが、被相続人所有の建物での同居の場合は裁量割合で考慮され、場合によっては要件を満たしていないと評価される可能性もあります。


次に「扶養の必要性」についてですが、被相続人の経済状況について判断することになり、被相続人に収入がある場合や多額の預貯金があるような場合には扶養の必要性は認められず、例え身体状態が悪く要介護度認定を受けているような場合だけでは「扶養の必要性」についての要件は満たすことになりません。

被相続人の預貯金が乏しく、支給される年金だけでは生活が厳しいものの不動産を所有している場合には、その不動産に抵当権などの担保を設定し金銭の借り入れを行えば良い、不動産を売却して現金化すれば良い、ということにはならず、このような状況の場合は「扶養の必要性」があると判断されることになるでしょう。


そして「継続性」の要件については、扶養の期間が相当期間に及んでいる必要があり、被相続人が転倒し骨折した為、一人での生活が難しい期間のみ扶養していた、というような比較的短期間である場合は要件を満たすことにはなりません。

この相当期間については、明確な基準が設けられていない為一概には言えませんが、数年単位で扶養期間が認められる場合には、要件を満たしていると判断される可能性が高いと言えるでしょう。


~寄与分の算定方法~

扶養型の場合、寄与分の算定には以下の方式で算定することが考えられます。


寄与分=扶養の為に要した額×裁量割合


裁量割合は、身分関係・法定相続分の割合、他の共同相続人による金銭等の給付の有無やその金額等の一切の事情を考慮して定められることになります。



〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

「扶養型」の場合は、他の類型の寄与分に比べると、比較的証拠資料も揃い易く、認められやすい傾向にあると言えます。

ただし、被相続人の経済状況等については相続人全員が把握しているとは限らず、本当に扶養の必要性があったのかを確認する為、被相続人の非課税証明書や年金額決定通知書などが必要となる場合もあります。

寄与分を主張する場合には、各類型ごとの要件を満たしているか十分確認するようにしましょう。


上記に関するお問い合わせの他、遺言や相続に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

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