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配偶者短期居住権②

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、「配偶者短期居住権」の効力・消滅についてご説明いたします。
[目次]

○配偶者短期居住権の効力
配偶者短期居住権の取得により、配偶者は、配偶者居住権と同様に居住建物について、従前の用法に従い、善管注意義務をもって使用する義務を負うことになります。
また、配偶者短期居住権も一身専属権である為、譲渡することは出来ず、居住建物を第三者に使用させる為には所有者の承諾を得ることが必要です。
配偶者居住権とは異なり収益については認められておりませんのでご注意ください。
その他、居住建物の使用収益に修繕が必要な場合は、配偶者が修繕することが可能であること、居住建物の通常の必要費については配偶者が負担することとなっている点は、配偶者居住権と同様です。
尚、配偶者短期居住権は、配偶者居住権とは異なり「登記」ができない点にも注意が必要です。
登記ができないことにより、居住建物の所有者から譲渡を受けた第三者が現れた場合は対抗することができず、もしも第三者から立ち退きを求められてしまうと、配偶者はそれに従わなければなりません。
もっとも、この場合、居住建物の所有者は、配偶者の建物短期居住権の行使を妨げてはいけない(民法第1037条第2項)とされているところ、建物の譲渡によって妨げていることになり、居住建物の所有者は配偶者に対して債務不履行責任(賃料相当額)を負うことになります。
○配偶者短期居住権の消滅
配偶者短期居住権は以下の場合に消滅します。
①配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき
②配偶者短期居住権を認められた配偶者の死亡
③配偶者短期居住権の認められた居住建物の全部滅失、その他の理由による使用収益の不能
④居住建物の用法遵守義務・善管注意義務違反
上記の消滅事由により、配偶者短期居住権は消滅し、効果として以下の義務が発生します。
1⃣居住建物返還義務
※上記①配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき及び配偶者が居住建物について共有持分を有する場合を除く。
2⃣原状回復義務等
※居住建物から分離不可能な物・分離に過分の費用を要する物、配偶者の責めに帰すことができない居住建物の損傷を除く。
尚、前回の記事でご説明した通り、配偶者短期居住権の存続期間は、配偶者が居住していた建物が配偶者を含む共同相続人間で遺産分割される場合には①相続開始時から、遺産分割により居住建物の帰属(分割)が確定した日②相続開始時から6か月を経過する日のいずれかの遅い日まで、遺言や遺贈、死因贈与で配偶者以外が居住建物を取得した場合や配偶者が相続放棄した場合には、居住建物を取得した者が配偶者に対し、配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6か月を経過する日まで、と定められており、最短の場合、配偶者が居住建物を無償で使用することができるのは6か月間のみとなります。
○さいごに
いかがでしたでしょうか。
配偶者短期居住権は、配偶者居住権と同じような性質を持つ部分が多いと言えますが、“使用収益”ではなく“使用”しか認められていない点、また、存続期間が配偶者短期居住権は原則として配偶者の終身の間(別段の定めも可能)とされているのに対し、配偶者短期居住権の場合は最短6か月間であるという点が大きな違いと言えます。
登記ができず、第三者に対抗ができないという点にもご注意ください。
上記に関するお問い合わせの他、遺言や相続に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。