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会社の機関~監査役~

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、会社の機関のひとつである監査役についてご説明いたします。
[目次]

〇監査役とは
監査役とは、株式会社における取締役及び会計参与の業務の監査、つまり、会社の業務監査及び会計監査を職務とする機関のことをいいます。
不正や違法な職務執行行為がないかを調査し、発覚した場合には阻止や是正等を行います。
~監査役の権限~
①業務監査権限:取締役の職務執行の監督
②会計監査権限:計算書類等の監査
尚、非公開会社(株式の全部に譲渡制限規定がある会社)では、監査役の権限を会計に限定することが可能です。
権限を会計に限定した場合、権限を限定しない監査役と比べ、業務範囲・株主による監督機能・登記事項が異なります。
<業務範囲>
・会計限定監査役⇒「会計監査権限」のみ
・監査役⇒「業務監査権限」及び「会計監査権限」

<株主による監督機能>

「取締役等の責任免除の規定」とは、取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定のことを指し、原則として負わなければな らない取締役の損害賠償責任を免除するための制度のことです。
近年では、企業の不祥事防止の為、社外取締役の設置を求める傾向もありますが、多額の損害賠償リスク等の懸念点があることから、経営が萎縮しないよう、取締役の責任の免除や責任の限定をする仕組みが設けられています。
会社法第426条第1項では、監査役設置会社等について「当該役員が職務を行うについて善意でかつ重大な過失がない場合は、責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、最低責任限度額を超える部分について、取締役の過半数の同意によって免除することができる旨を定款で定めることができる。」と定められています。
<登記事項>
平成27年5月1日より、会計に限定された監査役については、定款に規定するだけではなく、登記事項証 明書の登記事項となりました。
監査役の権限が会計に限定されている場合の登記事項証明書には、以下のように表示されます。

〇監査役の資格等と任期
会社法では、監査役の資格等および任期について、以下のとおり定められています。
<第三百三十五条>
第三百三十一条第一項及び第二項並びに第三百三十一条の二の規定は、監査役について準用する。
2 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
3 監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。
<第三百三十六条>
監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 前項の規定は、公開会社でない株式会社において、定款によって、同項の任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
3 第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
4 前三項の規定にかかわらず、次に掲げる定款の変更をした場合には、監査役の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。
一 監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
二 監査等委員会又は指名委員会等を置く旨の定款の変更
三 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
四 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更
監査役となる為には、税理士等の国家資格は不要ですが、以下のような欠格事由に該当しないことが必要です。
法人
会社法若しくは一般社 団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、又は金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法の 罪若しくは破産法の所定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
上記に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)
また、株式会社の取締役との兼任、子会社がある場合はその取締役や会計参与、執行役、使用人等との兼任はできません。
これは、監査する側と監査される側が同一では、公正な監査を期待することができない為です。(監査役の兼任禁止)
尚、非公開会社では、定款に定めることで、監査役の資格を株主に限定することも可能です。
そして、監査役の任期は原則4年とされていますが、非公開会社の場合は、定款により任期を10年まで延長することが可能です。
任期が満了した後、引き続き同じ人が監査役として再任する場合であっても、必ず重任の登記が必要となります。
取締役の任期は原則2年とされているのに対し、監査役の任期が原則4年と長く設定されているのは、監査役の実効性を高める為とされています。
〇さいごに
いかがでしたでしょうか。
役員の変更登記は、登記事由が発生した時から2週間以内に行う必要があります。
故意・過失を問わず、この期間を過ぎてしまうと過料に処すべき行為と判断され、株式会社の代表取締役は裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。
取締役と監査役の任期期間をバラバラに設定している場合には、任期の管理をよりしっかり行うようにしましょう。
上記に関するお問い合わせの他、法人設立に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。