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遺産の一部分割

遺産の一部分割

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。

遺産の種類が多い場合や相続人同士の関係性が悪い場合、遺産分割協議が思うように進まない場合があります。

前回、一定期間の遺産分割を禁止し、いったん保留にすることでトラブル等を防げるケースがあるとお伝えいたしましたが、遺産は一部だけを分割して、一部の遺産を分割せずに残しておくことも可能です。

今回は、遺産の一部分割についてご説明いたします。


[目次]


◆遺産分割の一部分割とは?

◆一部分割が認められない場合

◆さいごに



〇遺産分割の一部分割とは?

被相続人の遺産は、遺言がある場合は原則として遺言の内容が優先され、遺言がない場合は通常、法定相続人全員で遺産分割協議を行い遺産分割の方法を決めることになります。

遺産分割協議で決まらない場合は、調停や審判ということもあるでしょう。

しかし、遺産全ての分割について合意ができない場合でも、相続人全員が遺産の一部分割について合意をした場合、その一部の遺産のみを分割し、残りの遺産を未分割のままにしておくことができます。


例えば、遺産の評価、特別受益、寄与分などについて争いがあり、それらの解決を待つと遺産分割が終わるまでに相当な時間がかかるような場合、まずは争いのない遺産についてのみ先行して一部分割することが、遺産分割の早期解決を目指すために有益である、という場合があります。


具体的には、共同相続人のうちの1人が遺産である土地上に自宅を建てており、そのまま継続して土地を利用したいと考えていたところ、他の共同相続人が当該土地を含めた遺産全部についての分割を求めてきた場合に、預貯金債権の帰属について争いが無ければ、当該土地を除いた預貯金債権についてのみ先行して遺産分割が可能ということになります。

相続税の申告・納付は“相続開始を知った日の翌日から10か月以内”に行わなければならない為、上記のように不動産の帰属については争いがあるものの、預貯金債権は先に取得しておきたい!という場合の他、遺産の範囲が広い、種類が多いなど遺産の特定が難航する場合にも有効です。



〇一部分割が認められない場合

遺産の一部分割の可否については民法第907条に定められています。


<第907条>

共同相続人は、次条第1項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第2項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。


つまり、“被相続人による遺言で遺産の分割が禁じられていないこと”、“共同相続人の協議”が必要となります。

更に、共同相続人での協議が整わない場合は家庭裁判所に一部分割の申し立てが可能ですが、遺産を一部分割することで他の共同相続人の利益を害する恐れがある場合には、一部分割の申し立ては認められません。

また、家庭裁判所へ申し立てを行う場合は、一部分割をすることに合理的理由があることや、申し立て時に把握している全部の遺産について遺産目録に記載することなどが必要となります。



〇さいごに

いかがでしたでしょうか。

遺産の一部分割を行った場合でも、いつかは未分割分を含めたすべての遺産の分割が必要となります。

その為、遺産分割できない、という問題を先送りにしているとも言えます。

遺産分割が長引くことにより、該当となる相続人が死亡してしまうようなケースも考えられます。

このような場合には、子による代襲相続が発生するなど、関係者が増えることにより更に遺産分割が難しくなることもある為、後々のトラブル等を防ぐ為にも専門家に相談しながら行うのが良いでしょう。


上記に関するお問い合わせの他、遺言や相続に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。

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