|行政書士コラム 詳細
法的手続き2000社以上のご支援実績
行政書士法人Aimパートナーズ
会社の機関~株主総会③~

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、株主総会における決議の瑕疵についてご説明いたします。
[目次]

○決議の瑕疵
株主総会の決議が有効か否かは、会社・株主・取締役等、多数の者の利害に影響を与える為、瑕疵の主張を可能な限り制限し、法律関係を画一的に確定することが望ましいと言えます。
そこで、株主総会の決議については以下の制度が設けられています。
①決議の不存在又は無効の訴え
決議が存在しない場合、又は決議の内容が法令に違反する場合には、決議の不存在又は無効の確認を求める正当な利益がある限り、決議不存在の訴え又は決議無効確認の訴えを提起することができます。
この訴えは、提訴権者について制限がなく、誰でも、いつでも提起することが可能です。
「決議の不存在」とは、株主総会を開催した事実や、決議をした事実が全くないことを言います。
判例では、代表取締役が招集したのではない場合(最判平2年4月17日)、招集通知の漏れが著しい場合(最判昭33年10月3日)、取締役会設置会社において、平の取締役が取締役会決議に基づかずに株主総会を招集した場合(最判昭45年8月2日)などが該当するとされています。
また、「決議の内容が法令に違反する場合」とは、欠格事由のある者を取締役に選任する決議、株主平等原則に反する決議、違法な内容の計算書類の承認決議などが該当します。
ただし、これらの場合は、確認判決が確定する前から決議は当然に不存在、又は無効であり、訴えによらなくても不存在又は無効を主張ができると解されています。
②決議の取消しの訴え
下記の事由に該当する場合、株主、取締役、監査役、執行役、清算人は、株主総会の決議の日から3か月以内に、訴えをもって決議の取消しを請求することができます。
尚、株主は、自己に対する株主総会招集手続きに瑕疵がない場合でも、他の株主に対する招集手続きに瑕疵がある場合には、決議取消しの訴えを提起することが可能です。
⑴招集手続き又は決議の方法が、法令若しくは定款に違反、又は著しく不公正なとき
・招集通知漏れ、招集通知期間の不足
・定足数不足でなされた決議
・株主が事実上、参加できない時間や場所で株主総会を開催した場合 等
⑵決議内容が定款に違反す る場合
・定款上、取締役の員数の上限が規定されている会社において、その上限を超えて取締役選任決議を行った場合 等
⑶特別の利害関係を有する者が、議決権を行使したことにより、著しく不当な決議がされたとき
特別の利害関係を有する者の議決権行使について、一般的に否定するのではなく、議決権行使により著しく不当な決議が成立した場合にのみ、決議取り消し事由となりますので、注意が必要です。
また、決議を取り消すだけの必要性と実用性のことを「訴えの利益」といい、決議の取消しの訴えは、形成の訴えです。
法定の要件がされる限り、訴えの利益が認められるのが原則ですが、例外的に、決議後の事情の変化により形成判決をする実益がなくなり、訴えの利益を欠く場合があります。
判例では、役員選任の総会決議取消しの訴えの係属中、選任された役員が全て任期満了により退任し、その後の総会決議で役員が新たに選任されたときは、特別の事情がない限り、決議取消しの訴えの利益を欠 く(最判昭45年4月2日)、としています。
更に、決議取消しの訴えの提起があった場合において、株主総会の招集の手続き又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、裁量棄却が可能です。
請求を容認する判決の効力は、第三者にも及び遡及効もあります。
○さいごに
いかがでしたでしょうか。
決議の不存在又は無効の訴えとは異なり、決議取消しの訴えについては、提訴権者・提訴期間が限定されています。
特に提訴期間を限定した趣旨は、決議 の早期確定によって法的安定性を確保する点にある為、提訴期間を経過した後に取り消し事由を追加することは許されません。
ただし、決議取消事由を無効事由として主張し、株主総会決議無効確認の訴えを取消しの訴えの提訴期間内に提起していた場合、提訴期間経過後に決議取消しの主張をなすことが認められています。(最判昭54年11月16日)
上記に関するお問い合わせの他、法人設立に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。