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株式会社の準備金

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、株式会社における準備金について、ご説明をいたします。
[目次]

○株式会社の準備金
準備金とは、会社の純資産額が資本額を超えた額のうち、利益として配当せず、会社に留保する金額のことであり、「資本準備金」と「利益準備金」が存在します。
会社法は、資本金とあわせて、比較的容易に取り崩すことができる準備金の制度を設けることにより、会社財産の確保の要請にこたえつつ、機動的な会社経営の立て直しを可能としています。
また、資本金の額に相当する会社財産を確保しない限り、剰余金の配当を許さないとすることで、会社財産の不当な流失を防ぎ、会社債権者の保護が図られています。
<第445条>
株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
4 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。
5 合併、吸収分割、新設分割、株式交換、株式移転又は株式交付に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
6 定款又は株主総会の決議による第三百六十一条第一項第三号、第四号若しくは第五号ロに掲げる事項についての定め又は報酬委員会による第四百九条第三項第三号、第四号若しくは第五号ロに定める事項についての決定に基づく株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
資本準備金とは、会社の経営において新株を発行することにより調達した出資金のうち、資本金として計上しなかった残りの金額のことをいいます。
資本金と資本準備金の割合は、会社が決めることができますが、上記の通り、会社法で資本準備金にあてることができる金額の上限が定められています。
例えば、新株を発行して1000万円の払込みを受けた場合、最低限度額の資本金を計上するときは、資本金500万円、資本準備金500万円となります。
資本金を大きくすることで、会社の規模を大きく印象付けることができ、取引先の信用等も得やすくなるというメリットがあります。
しかし、資本金が大きくなりすぎると税金が高くなるというデメリットもあり、注意が必要となります。
また、利益準備金とは、企業が財務基盤を強化する為に積み立てるお金のことをいい、利益剰余金の一部でもあります。
会社法により、企業が配当する際には、配当金額の10分の1を利益準備金として積み立てることが義務付けられており、資本準備金とともに「法定準備金」とも呼ばれています。
○準備金の額の増加
準備金の額の増加は、以下の場合に発生します。
・設立又は株式の発行に際し、株主となる者が会社に対して払込み・給付をした財産の額のうち、資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
・剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、配当により減少する剰余金の額の10分の1を、準備金として計上しなければならない。
・会社は、株主総会の普通決議により、剰余金を減少し、それを準備金に組み入れることができる。
準備金の増加は、会社債権者に不利益となることはない為、債権者保護手続きをとる必要はないとされています。
○準備金の額の減少
準備金の額を減少させるには、原則として、株主総会の普通決議を要します。
ただし、新株発行と同時に準備金の額を減少する場合において、当該準備金の額の減少の効力が生ずる日後の準備金の額が当該日前の準備金の額を下回らないのであれば、取締役会(取締役会非設置会社においては、取締役)の決定で足りるとされています。
尚、準備金の額の減少についても、原則として、資本金の額の減少の場合と同様に債権者保護手続きが要求されます。
○さいごに
いかがでしたで しょうか。
準備金には、法定準備金の他に、任意準備金というものも存在しますが、会社法上では「法定準備金」のみを指します。
また、利益準備金と任意積立金は貸借対照表上、純資産の部の株主資本のうち、ともに利益剰余金を構成していることから、両者を混同してしまうケースもあるようです。
利益準備金は、会社法で積み立てが要求される準備金であるのに対し、任意積立金は、株主総会の決議に基づき、会社が任意で積み立てることができるものですので、両者の違いについてもしっかり理解することが重要となります。
上記に関するお問い合わせの他、法人設立に関するご相談・ご質問などがございましたら、行政書士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください。