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株式会社の計算

札幌の行政書士法人Aimパートナーズです。
今回は、株式会社の計算について、ご説明をいたします。
[目次]

○株式会社の計算
株式会社は、事業からどのくらいの利益・損失が発生したのかを把握し、利益が出た場合には株主に分配を行う為、一定の期間(事業年度)における計算が必要となります。
株式会社の経営の成果、財産状況などを定期的に数値で把握し、株主や会社債権者などの利害関係者に開示することを「会計」といい、一般的に株式会社の会計は、公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うこととされています。
会社の利益の計算は、事業年度中における日々の取引等を「会計帳簿」に逐一記録し、その会計帳簿を元に事業年度ごとに「計算書類」が作成されます。
事業年度は各自で任意で定めることができ、また、一度定めた後に変更することも可能です。
日本の株式会社は、4月1日から3月31日を1事業年度と定めている会社が多いようです。
○会計帳簿
会計帳簿とは、一定期間における会社の財産及びその価値並びに取引に影響を及ぼすべき事項を記載・記録する帳簿のことをいいます。
具体例として、元帳、仕訳帳、伝票などが該当し、会計帳簿の作成及び保存については、以下の通り会社法で定められています。
<第432条>
株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
~会計帳簿の閲覧・謄写の請求~
株主総会において決議をすることができる事項の全部につき、議決権を行使することができない株主を除く総株主の議決権の100分の3以上、又は、自己株式を除く発行済株式の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内であれば、いつでも、誰でも、請求の理由を明らかにし、会計帳簿の閲覧・謄写の請求をすることができ、100分の3という割合は、いずれの場合も定款による引き下げが可能です。
この権利は、株主がその権利を行使する為に情報収集する手段として認められるものであり、判例では、共益権の行使や自益権を行使する為の場合にも、会社帳簿の閲覧が認められています。
株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合には閲覧謄写請求を拒むことも可能ですが、それ以外の場合においては、拒むことはできませんのでご注意ください。
一 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
五 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
○計算書類等
計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表のことをいいます。
計算書類等の作成及び保存については、以下の通り会社法で定められています。
<第435条>
株式会社は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2 株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。
4 株式会社は、計算書類を作成した時から十年間、当該計算書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
計算書類に関しては、原則として、定時株主総会の承認を受ける必要があり、会社は、計算書類等を原則として、定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社では2週間前)の日から5年間、本店に備え置く必要があります。
株主及び会社債権者は、会社の営業時間内はいつでも、閲覧等の請求をすることが可能です。
また、会社は、定時株主総会の終結後、原則として遅滞なく、貸借対照表(大会社においては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければなりません。
尚、定時株主総会の招集の通知に際し、計算書類及び事業報告書(監査報告等ある場合は監査報告等を含む)を株主に提供する必要がありますが、付属明細書は提供する必要がない点にも注意が必要です。
○さいごに
いかがでしたでしょうか。
会計帳簿の閲覧謄写請求は、株主名簿閲覧謄写請求権や株主総会・取締役会の議事録閲 覧謄写請求権とは異なり、債権者には認められておりません。
一方、計算書類等の閲覧等については、株主及び会社債権者が請求可能となっておりますので、違いにご注意ください。
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